マンション売却の契約時に気を付けるべき4つのこと
「どんなところに気を付けるべき?」
「申込と契約って何が違うの?」
マンション仲介500件以上の実績を持つ
プロ仲介マンがお答えします!
※なお、この記事はマンションに限らず「一戸建て」「土地」を売却するときも同じです。
実は、マンション売却時の申込・契約は注意点も多いので、交渉が終わったからと言って気を抜いてはいけません。
今回は、そんなマンション売却時の申込・契約時の注意点を4つ解説していきます。
申込・契約のキャンセルリスク
マンション売却の契約時に注意する1つ目は、申込と契約のキャンセルリスクを知っておくことです。このリスクを知ることで、いかに申込という行為が重要か分かってきます。
また、キャンセルリスクは申込と契約でも異なりますし、買主・売主でも異なります。
申し込みは部屋を抑える
キャンセルリスクを話す前に、まずは「申込とは何か?」という点を解説します。
申込とは、買主がその部屋を購入するという意思を表示し、売主は申込者のために部屋を抑えることです。
たとえば、Aさんが自分のマンションに申込を入れたとします。仮に、その後に別の検討者であるBさんが購入の意思を示したとしても、Bさんは申込を入れることはできません。
この場合、BさんはAさんが申込キャンセルをしたときだけ、新たに申込むことができる「2番手」の扱いになります。
そのため、安易に申込を受けてしまうと、ほかの検討者をシャットダウンすることになるという点は覚えておきましょう。
キャンセルリスクについて
申込は法的な手続きではないので、買主は特にキャンセルリスクはありません。売主も一見キャンセルリスクがないように見えますが、買主から一方的にキャンセルさせられると、実はリスクがあります。
また、契約時はお互い金銭的なリスクがあり、そのリスクは手付金とつながってくるので注意しましょう。そんな大事な「申込に付けるべき条件」は、次項で解説します。
買主が申込キャンセルしたとき
買主が申込キャンセルすると、売主側は以下のようなリスクがあります。
- 広告を再開しなければいけない
- ほかの検討者へ再度告知しなければいけない
- キャンセル理由を考えなければいけない
要は、申込キャンセルされた時点で、売却活動を一旦ストップするので、また一から売却活動をはじめる点がリスクです。広告を再開して検討者へ再度告知する時間がもったいないです。
少なくとも申込~申込キャンセルの期間は売却活動ができません。申込キャンセル手続きがスムーズにいかないこともあるので、売却活動が1~2週間くらい停止することがあります。
しかも、ほかの検討者には「申込が入りました」と告知しているので、その検討者たちは一旦検討をやめています。その状態からもう一度検討してもらうのは、意外と大変なものなのです。
契約をキャンセルしたとき
契約は法的な手続きなので、キャンセルをすると買主・売主ともペナルティがあります。ペナルティとは、手付金額が違約金になるという点です。
売買契約を結ぶときには、買主は売主に売買代金の一部を支払います。
仮に、200万円の手付金を支払ったとしましょう。そのとき、買主が契約キャンセルをすれば、その手付金は売主に没収されます。
一方、売主が契約キャンセルすれば、預かっている手付金を返還し、かつ手付金額と同額を違約金として支払うという流れです。
- 申し込みは部屋を抑えるという行為なので慎重に
- 買主に申込キャンセルされると売主は売却が遅れてしまう
- 契約キャンセルは手付金が違約金になる
申込時の注意点
マンション売却の契約時に注意する2つ目は、申込を受けるときの注意点です。具体的には、以下の点に注意しましょう。
- 手付金額の設定
- 資金確定のハードル設定
先ほどいったように、申込キャンセル時は買主のリスクがありません。そのため、売主としては、いかに申込キャンセルされないようにするかが重要です。
それには、「この人は絶対に買う!」という確信を持つことが大切であり、上記2点はその確信を持つための重要な作業です。
手付金額の設定
結論から言うと、申込キャンセルさせないために、手付金はなるべく多めにした方が良いです。売主から申込キャンセルすることは少ないですが、買主は申込キャンセルリスクはないので、意外とキャンセルすることがあります。
そのため、手付金を多く取ることで、キャンセルしにくくした方が良いのです。手付金については、以下3点を知っておきましょう。
- 手付金の相場は?
- 手付保証とは?
- 手付金はいくらに設定する?
手付金の相場は?
手付金は、売買代金の20%なら、いくらに設定しても良いです。つまり、2,500万円の物件なら500万円までは手付金に取れるということです。
ただ、20%の手付金は買主の負担も大きいので、相場は売買代金の5%前後でしょう。少なくとも100万円以上に設定することが多くなります。
手付保証とは?
中古マンション売買の場合は、手付金が1,000万円超、もしくは売買代金の10%以上なら、仲介する不動産会社は手付保証をします。
手付保証とは、万が一手付金を売主が持ち逃げしたときなどに保証する制度※1です。ただ、正直不動産会社からすると手付保証はお金も手間もかかるので、あまりしたくないのが本音です。
そのため、ほとんどの不動産会社では、手付金は1,000万円以下、もしくは売買代金10%未満に設定します。
※宅地建物取引業法41条
手付金はいくらに設定する?
結論から言うと、手付金の理想は20%の上限まで取ることです。ただ、現実的には難しいので、不動産会社には「10%を必ず取って下さい」と伝えておきましょう。
10%でも買主の負担は小さくないので、実際にはもっと低くなるかもしれません。ただ、買主もできるだけ手付金は払いたくないので、最初から5%などで交渉すると、もっと低い金額になります。
また、不動産会社が「手付保証をしたくない」というのは売主にとっては関係ないので、無視して良いです。
手付保証は確かにお金と手間がかかりますが、実際はそこまで大した労力でありませんし、そもそも不動産会社の義務なので、保証するのは当然だからです。
資金確定のハードル設定
さて、申込を受ける2つ目の注意点は、資金確定のハードルを高く設定することです。資金確定のハードル設定とは、買主が物件を購入することができるか?をきちんと確認するということです。
そのため、資金確定のハードルは以下で設定しましょう。
- ローンなら仮審査の承認
- 現金なら手付金20%
これらの点は、事前に不動産会社の営業マンと話しておくべきです。
ローンなら仮審査の承認
もし、買主がローンを組んでマンションを購入するなら、ローンの仮審査承認は絶対条件です。仮審査に承認していれば、本審査に落ちることはほぼありません。
たまに、営業マン判断で「この人のプロフィールならローンはほぼ大丈夫です。審査承認前ですが申込を受けましょう」という営業マンがいますが、それは避けた方が良いでしょう。
なぜなら、どんな人でもローン審査してみないと分からないからです。仮に、大企業に勤務している自己資金3割、年収1,000万円以上の人でも、過去に延滞歴などがあれば審査に落ちることはあります。
審査に落ちれば申込はキャンセルになるので、先ほどいったようにイチから売却活動を再開するというデメリットが出てくるのです。
現金なら手付金20%
仮に、ローンでなく現金で支払うなら、手付金は20%の設定にしましょう。先ほど20%は買主の負担が大きいといったのは、あくまでローンの話です。
現金ということは、引渡時に全額現金を振り込むので、その20%を手付金として預かっていても何ら問題はないはずです。
逆に、20%の手付金を拒否した場合は、「キャンセルリスクがある」「現金支払いの目処を今から立てる」という新たなリスクにつながります。
- 手付金はなるべく多めに取る
- ローンは承認、現金なら手付20%を申込条件にする
- 引渡し時期は慎重に設定する
契約時にやることを知る
マンション売却の契約時に注意する3つ目は、契約時に何をするか?について知ることです。売買契約時には以下2つのことをします。
- 重要事項説明
- 売買契約書の締結
この2点は不動産会社が主導するので、売主は確認作業だけです。
重要事項説明
重要事項説明書(重説)とは、読んで字のごとく、以下のようなマンションに関する重要なことが書かれた書類です。
- 物件について:広さや権利関係
- 法令上の制限:用途地域や各制限
- インフラ設備など:水道や電気などのインフラ関係
- 共用部のルールなど
- 契約解除の対応
上記は重説のほんの一部であり、重説は内容的に20ページ以上になる、ボリュームのある書類です。
この重説の作成は不動産会社が行いますので、売主は念のために目を通す程度で良いです。
売買契約書の締結
売買契約書(売契)も重説と同じく、不動産会社が作りますので売主はチェックするだけで良いです。売契の内容の8割ほどは重説と同じです。
もっと厳密にいうと、重説の中でも重要と思われる項目をピックアップして、売契にも適用しています。
ただ、売契には物件金額や手付金額など、お金に関する記載があります。これは、契約してから「やっぱり間違っていた」という話は通じないので、金額だけは必ず確認しておきましょう。
- 重説も売契も不動産会社が作成
- 売主はどちらもチェックするだけ
- しかし、売契の金額は良くチェックしよう
契約時に気を付けるべきポイントを知る
マンション売却の契約時に注意する4つ目は、契約時に気を付けるべき以下のポイントを知ることです。
- 契約日程はなるべく早くする
- 持ち回り契約を知る
- 仲介手数料の支払いが発生する
これらはマストで覚えておく必要はありませんが、上記を知っておいた方がスムーズに契約することができます。
契約日程はなるべく早く
契約日を早く設定する理由は、申込キャンセルリスクを小さくするためです。先ほどいったように、買主は申込キャンセルをしてもリスクがないので、気が変わらないうちに早めに契約しましょう。
実は、この契約日の設定は意外と重要です。通常は、土日に申込して、翌週の土日に契約することが多いですが、それでは遅いです。できれば、土日に申込をして火曜辺りには契約してしまいましょう。
それぞれ契約日までに何をするか?
売主は、契約日に署名・捺印できる時間さえ確保しておけば問題ありません。また、買主は手付金さえ振り込めれば良いですし、不動産会社は重説と売契さえ作れれば良いです。
仮に、土日に申し込んで火曜契約だとかなりスピード感がありますが、大きなリスクはなく、むしろ申込キャンセルリスクが小さくなるメリットの方が大きいです。
前もって準備しておく
このような平日契約を実現させるためには、以下を準備しておく必要があります。
- 購入を検討している段階で検討者にスケジュール感を伝える
- 重説は作っておき申込段階で読む
- 契約日にすることをまとめておく
まず、不動産会社に「平日契約が良い」という旨を伝えておきましょう。その上で、上記を不動産会社の営業マンに言っておきましょう。
中には平日契約に慣れていない営業マンもいるのですが、準備をしていなければ平日契約は難しいです。そのため、売主が上記の点は理解し、営業マンを誘導しましょう。
持ち回り契約を知る
特に、前項のように平日契約になると、仕事があり時間を取れないこともあります。そのため、不動産会社には持ち回り契約を提案しましょう。
持ち回り契約とは、不動産会社の営業マンが、売主・買主それぞれの場所へ出向くという契約方法です。つまり、売主・買主は自分のところへ営業マンが来てくれるので、仕事を中抜けして契約書に署名・捺印できます。
前項のように、申込時点で重説を読んでおけば、契約当日は30分~1時間くらいで終わります。
持ち回り契約であれば30分~1時間ほど時間を作れば良いので、仕事の合間で何となるケースが多いです。
仲介手数料の支払いが発生する
また、仲介手数料の半金は、契約時に支払うという取り決めにしていることが多いです。この仲介手数料の半金は、買主からの手付金をスライドさせられます。
そのため、手付金をよほど低い金額で設定していなければ、手持ち金から仲介手数料を支払うことはありませんが、契約時に半金支払うという点は覚えておきましょう。
ちなみに、もう半金は引渡時に支払うので、決済金額をスライドできます。
- 申込から契約はなるべく早めに設定する
- 営業マンが出向く「持ち回り契約」という方法がある
- 契約時には仲介手数料の半金支払う
まとめ
マンションの申込・契約については、以下のポイントを抑えておきましょう。
- 申込は安易に受けずハードルをきちんと設定する
- 特に手付金額の設定は慎重に行う
- 申込からなるべく早めに契約日を設定
- 重説と売契は特に売契の金額部分のチェックはする
申込・契約終われば次は引渡です。引渡について詳しく知りたい方はコチラ。